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2010年11月17日 (00:55)

オラきあ的短編私小説:あれから(前編)

リターンキーを押し終えたばかりで男はしばし固まった。

「じゅ、准教授だと?まだ30代前半だろうに?!」

かつての知り合いがどうしているかとふと気になって検索をかけてみたのだ。インターネットが発達したこの時代、知り合いの動向を知ることはかなり容易になった。それが研究職についている者ならなおさらで、国民の税金で支えられている研究者の情報というのは今やネット上に逐一登録されているのだ。

同姓同名がいる場合もあるが、その大学に就職した旨は連絡をもらっていたので本人に間違いない。何より就職先の大学のホームページには確かに本人の写真が載っていた。相変わらず目がくりくりしている。

男は、その女性のホンワカした雰囲気を思い出していた。

「私、研究者に向いてますかねえ?」「これからどうしましょう?」と幾度と無く聞かれたことがあった。アドヴァイス等をしていたものの、いささかこれからの時代には野心が欠けているようにも思えたのは事実である。研究成果、進路やら恋愛などおおよそ20代後半の女性があれこれ考えている悩みを当然持っていた彼女だが、どうも積極性に前に出るような所がなかったし、特に研究テーマにもこだわりがあったわけでもなかった。本人もそれを自覚しており「結婚して主婦でもいいです~」というような子であった。

それが今や准教授である。ネット上の公式記録によれば、かれこれ3年前には助教授(前制度における准教授に相当)についているので、32,3でその職についている。

「おいおい、それは同期や先輩などを入れても最短コースだ。この前、東大生え抜きの先輩がまだ就職できずにいるのを聞いて、すごい時代だ、とびっくりしてたところだぞ」「おれなんて明日をもしれない身なのに。。。」

そう、何故か高学歴であっても就職と結びつかないのが今や小さいながらも社会問題になっている。学部生ですら新卒採用が50%代である不況時代、余分に勉強をしても、一般企業としては単純に使いづらい人材になるということで敬遠される傾向があり、大学や研究所のポストも限られている。来年何しているか決まってない博士号を持つ人々が漂流している時代なのだ。俗にいう博士余剰問題である。東大卒・京大卒の知り合いでもそのスピードで准教授になったのは多分ひとりだけである。そのような状況で、地方大出身のその子がそれに相当すると誰が想像できただろうか?

「あの子がねえ。」

男の思いは知り合った当時に飛んだ。

(続く)

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